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子どもの習い事費用を学年別・年収別に紹介!適切なお金のかけ方をFPが解説します

2024年10月21日
執筆者:土屋 ごう
  • 子どもの習い事費用を学年別・年収別に紹介!適切なお金のかけ方をFPが解説します

【学年別】子どもの習い事にかける費用

  • 【学年別】子どもの習い事にかける費用
子どもの年齢によって習い事にかかる金額が大きく異なります。

とくに、受験に向けて 学習塾費用がかかる小学校高学年と中学3年生でボリュームが大きくなるケースが一般的です。

文部科学省が2021年におこなった、公立・私立の幼稚園から高等学校に通わせている保護者を対象とする「令和3度子どもの学習費調査」の結果をみてみましょう。

【各学年の学校外活動費の平均年間費用】
  • 表1
参考:2. 調査結果の概要-令和3年度子供の学習費調査:文部科学省

公立に通う場合は高校受験時の中学3年生で497,915円ともっとも多くの費用がかかっています。

一方で私立に通っている場合は小学校5, 6年生で費用がかさむ傾向がみられます。
附属の中学校に進学せず外部の中学を受験するご家庭が多いためです。

では大まかに学校区分でみた場合、公立と私立では習い事費用にどれくらいの差があるのでしょうか。

文部科学省の同調査結果をみてみましょう。

【学校外活動費の平均年間費用】
  • 表2
参考:令和3年度子供の学習費調査の結果について:文部科学省

ご想像どおりかもしれませんが、全体的に 私立通いのほうが公立通いよりもお金をかけているとわかりますね。

幼稚園では私立が公立の約1.6倍、小学校では私立が公立の約2.7倍、高校でも約1.5倍の差があります。

私立の学校に通うと、公立よりも学費が高いだけでなく習い事にもお金がかかる点は意外と見落としがちではないでしょうか。

FPの観点から現実的な話をすると、教育資金はお子さんの大学進学まで見据えて計画的に貯金していくべきであり、教育資金の一部である習い事費用も計画的に使っていきたいところです。

できる限りたくさんの習い事を経験させてあげたいのが親心。
でも増やすとなると、金銭面だけでなく子どもの自由時間の減少、送迎なども負担に感じるかもしれません。

習い事を始める前も始めた後も、ときおり親子で確認してほしいと思います。

「…その習い事は、今、本当に必要ですか?」

子どもの習い事の費用目安や習い事の決め方はこちらの記事でも詳しく解説されています。
あわせてご覧ください。

【世帯年収別】習い事にかける費用の比較

  • 【世帯年収別】習い事にかける費用の比較
次に、世帯年収による習い事費用の違いとして年収400万円未満の家庭と年収1,200万円以上の家庭を比較してみましょう。

下表はいずれも先述の文部科学省の調査を参考にしています。

【年収400万円未満の家庭】
  • 表3
  • 表4
参考:2. 調査結果の概要-令和3年度子供の学習費調査:文部科学省

金額だけをみると、公立 / 私立いずれの学校区分でも年収が高いほうが習い事にかける費用が多いとわかりますね。

では年収400万円未満の家庭と年収1200万円の家庭それぞれにおける、習い事費用が家計に占める「割合」はどうなっているでしょうか。

年収400万円以下を年収400万円、年収1,200万円以上を年収1,200万円として計算した結果が下表です。

【各世帯年収で習い事費用が家計に占める割合】
  • 表5
※小数第二位以下は四捨五入

習い事にかける「金額」は年収1,200万円の家庭のほうが多いものの、習い事費用が家計に占める「割合」は収入による差があまりみられません。

一般家庭では、 家計に占める教育費の割合は5%〜10%程度がベストだといわれています。
10%を超えると教育費が生活費を圧迫するおそれがあるので気をつけましょう。

大学進学を見据えて教育費の「かけ時」と「貯め時」を見極めよう

  • 大学進学を見据えて教育費の「かけ時」と「貯め時」を見極めよう
わたしはFPとしてこれまで800世帯以上の家計をみてきましたが、お子さんの大学進学までにかかる教育費を、習い事を含めた総額までしっかり計算できている家庭は意外と少ないものです。

しかし、これまでみてきた数字から、習い事だけでも多くのお金がかかるとおわかりいただけたのではないでしょうか。

参考までに算出してみると、幼稚園から高校まで すべて公立で進学しているお子さんの習い事にかかる平均費用は総額約345万円です。
一方ですべて私立の場合は約642万円です。

さらに学費や大学進学費用仕送りなどの教育費用が別途発生することも忘れてはいけません。
だからこそ、先々まで見据えたマネープランを立てて、習い事も計画的に始めることが重要です。

ここではマネープランを立てるヒントとなる、教育費の「かけ時」と「貯め時」を紹介します。

教育費の「かけ時」

学費として最も多くお金がかかる時期は 大学が一般的です。

ただし「習い事」に限るならば、小学校高学年や中学3年生の受験シーズンが塾通いをはじめ教育費の「かけ時」となるでしょう。

夏期講習や冬期講習、場合によっては家庭教師や個別塾が必要になるかもしれません。
お子さんが希望する学校に合格するためなら、親としては出費がかさんでもできる限りのサポートをしたいと思うはずです。

そんなとき「事前に教育費を貯めておけばよかった」と後悔しないように、次で解説する教育費の「貯め時」を知り、大学進学、中学高校への進学のどこに重点をおくかバランスを考えておきましょう。

教育費の「貯め時」

教育費の「貯め時」は一般的には幼稚園小学校の期間です。
とくに 0歳〜小学校入学までの6年間は、教育費として大きなお金がかかることがないためチャンスの時期といえます。

私立中学を受験するとなると小学校高学年から塾代がかさみますので、小学校に上がるまでに教育資金としてできるだけ多めに貯金しておくことをおすすめします。

教育資金の目標貯金額を決めるには、もっともお金のかかる大学進学費から逆算して考えるとスムーズでしょう。

国立大学と私立大学それぞれの費用相場は下表のとおりです。
  • 表6
参考
国立大学:(参考2)国公私立大学の授業料等の推移-私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について:文部科学省
私立(文系・理系・医歯系):(資料1)令和3年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について


国立大学と医歯系学部では、授業料だけで医歯系が国立大学の5.4倍、4年間の総額になると6.7倍の差が出ます。

お子さん自身が目指したい分野や、お子さんに目指してほしい分野によって、親御さんが貯金すべき額も大きく異なることを理解できるでしょう。

成長とともに目指す進路が変わる可能性もじゅうぶんありますが、教育費があまりかからない 「貯め時」には、運用まで含めて教育資金の準備が非常に重要になってきます。

習い事選びの4ステップ

  • 習い事選びの4ステップ
習い事を計画的に始めるといっても、実際に選ぶとなるとなかなか難しいものです。

ここでは、お子さんが楽しんで続けられそうな習い事を見極め、選んでいくステップをご紹介します。

1. 子どもが好きなこと・興味がありそうなことを見極める

習い事を選ぶ際、まずは子どもの 好きなこと興味のある分野を把握しましょう。

「好きこそものの上手なれ」というように、好きなことには熱中して取り組めるものですし、習い事としてもきっと楽しく通えるでしょう。

幼少期に培った知識や技術は本人の自信や自己肯定感につながり、受験や仕事など大きなチャレンジの際にも良い影響をもたらしてくれます。

もしかすると親が習わせたい分野とは違う分野に関心があるかもしれませんから、子どもの興味に目を向けて伸ばしてあげる姿勢が大切です。

日頃からお子さんをよくみて多種多様な体験をさせてあげると、熱中できるものも見つかりやすいでしょう。
先入観を持たず、いろいろな分野に挑戦してみましょう。

2. 友だち(ママ友)や口コミから情報を集める

好きなことや興味のある分野がまだ明確でないお子さんもなかにはいるかもしれません。
もしくは、興味はあるけれど1人で始める勇気がない場合もあります。

そんなときは、 仲のよいお友だちが通っている習い事口コミが参考になります。
親は事前に教室の雰囲気などの情報を教えてもらえますし、子どもはお友だちがいるために安心して習い事に通いはじめられるでしょう。

興味のある習い事(教室)にお友だちがいない場合は、ネットの口コミ評価を参考に探してみるのも一手段です。

ただし友だちがきっかけの場合も、本人の興味の度合いは確認しておきたいところです。

友だちが辞めた際に「自分も辞めたい」と言いだす可能性があるためです。
友だちだけを理由に始めるのではなく、やはり習い事の内容そのものに興味を持てそうかどうかを見極めましょう。

3. 通える範囲にある教室を複数見学する

習い事の分野を絞れたら、定期的に継続して通うことを考慮して、 通いやすい範囲・送迎しやすい範囲にある教室を探して見学に行きましょう。

友だち(ママ友)や口コミの評価が高くても、教室の雰囲気や先生が自分の子どもに合っているかどうかは実際に確かめてみないとわかりません。
教室の良し悪しを比較するためにも、できれば複数の教室を見学できるとよいでしょう。

見学時のチェックポイントは下記のとおりです。
  • チェック
    通うのが苦にならない距離にあるか
  • チェック
    教室や通っている子どもたちの雰囲気が子どもの性格に合いそうか
  • チェック
    先生と子どもの相性はよさそうか
  • チェック
    先生の指導方針や教室のルールに納得・共感できるか
もしお子さんが内気な性格なら、話をよく聞いてくれる先生や少人数の教室が合いそうです。
一方で活発な性格の子なら、大人数でわいわいとにぎやかな雰囲気が合っているかもしれません。

実際の教室へお子さんと一緒に足を運び、楽しく通えそうか判断することも習い事を決める上で大切なステップです。

4. 無料体験を最大限に活用する

レッスンを無料で体験できる教室も多くあります。
見学して良さそうだと思えた教室には積極的に 無料体験を受講し、最大限に活用しましょう。
見学だけではわからなかった先生との相性やレッスンのレベルなどを体感でつかめます。

また周囲の子どもに馴染めそうか、傍から見て楽しく取り組めているかなど、お子さんの性格をよく知るご両親だからこそ判断できるポイントを押さえるために、体験中のお子さんの姿をよく観察することも大切です。

親がよいと思ってもお子さんご自身が乗り気でなければ習い事の効果も薄れてしまいます。
お子さんが「親が勝手に決めた」と感じる習い事は長続きしにくい反面、「自分で習い事を選んだ」という意識を持てると取り組みへの集中力も高まります。

体験後は本当にこの習い事に通いたいか、通ったほうがよさそうか、親子でよく話し合い、最後の決定権はお子さんに与えてあげましょう。

【参考】習いごとを辞めるときは

一度習い事を始めると、親の一存ではなかなか辞められません。

事前によく考え、話し合って始めた習い事でも、数ヵ月〜数年経って「子どものやる気が薄れてきた」「かかるお金の割に成長を感じられない」と感じるようになれば、辞める選択肢も視野に入ってくるでしょう。

しかしお子さん本人は「友だちがいて楽しい」といって、惰性で習い事を続けている場合もよくみられます。

こうしたときは、まず 習い事を辞めたほうが良いと考える理由をお子さんにきちんと伝えてあげましょう。
自由時間が少ないから心配、ほかの習い事に注力するのはどうか、など具体的に話せるとよいですね。

習い事を始めるときと同様に辞める際も親子で話し合い、お子さんも納得したうえで辞めるようにしましょう。

お子さんが納得しないまま親の都合だけで習い事を辞めさせてしまうと、場合によってはほかの習い事に対してもやる気を喪失するおそれがあります。

お子さんが納得しない場合は「ほかの教室へ移る」「別の習い事を提案する」「放課後に友だちと遊べる時間をつくる」など、お子さんが納得できる選択肢を用意してあげましょう。

お金のかけ時&貯め時を押さえて習い事のバランスを考えよう

  • お金のかけ時&貯め時を押さえて習い事のバランスを考えよう
最後に、本記事の要点を下記にまとめておきます。
  • チェック
    習いごと費用は塾代がかかる受験期(小6、中3)にかさみやすい
  • チェック
    教育費は聖域化しているが、習い事費用の目安は家計の5%〜10%
  • チェック
    教育費の「かけ時」は大学だが、習い事としての「かけ時」は受験期
  • チェック
    教育費の「貯め時」は幼稚園・小学校のうち(中学受験する場合は中学年まで)
       ⇒ とくに小学校に上がるまでがチャンス
習い事はお子さんの才能を伸ばす一つの手段です。
お子さんが好きなことはなにかよく観察し、適切な習い事を選んで可能性をどんどん広げてあげたいですね。

ただし、お子さんへの負担と金銭的な負担の考慮は必要です。

教室に通わなくても休日に親子で体験できることや、友だちと遊ぶなかで身につくこともたくさんあります。

また将来どの道に進んだとしても教育資金の心配がないように、お子さんが成長する過程で必要な費用はできるだけ早い段階で計算し、 いつ、いくら習い事にお金をかけられるかしっかり把握しておくことが大切です。

お子さんの「好き」を最大限に伸ばし、長くバックアップしつづけられる体制をととのえるためにも、ぜひ一度マネープランを立ててみてください。

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