「公務員として定年まで勤めあげれば、国から安定した年金とじゅうぶんな退職金がもらえる」と安心していませんか?

公務員の退職金と年金はいくらくらいもらえるの?

公開日:2022年4月
更新日:2024年6月1日
執筆者:土屋 ごう
  • 公務員の退職金と年金はいくらくらいもらえるの?
「公務員として定年まで勤めあげれば、国から安定した年金とじゅうぶんな退職金がもらえる」と安心していませんか?そして、具体的に年金や退職金がいくらもらえるのか、ご存知でしょうか。

公務員の年金制度はたしかにこれまで充実しており「老後は安泰」といわれてきました。ところが2015年の制度改正が公務員の年金制度に与えた影響は大きく、「公務員=安定した老後」の方程式は崩壊しつつあります。
一般的な会社員とくらべればまだ恵まれているといえますが、もはや公務員であっても個人で資産を積み立て、老後への備えが求められる時代です。

本記事では公務員の年金制度について整理するとともに、老後のライフプランを立てるにあたりまず知っておきたい年金・退職金の一般的な相場をお伝えします。

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公務員が知っておきたい年金制度

  • 公務員が知っておきたい年金制度
はじめに公務員の年金制度について整理していきましょう。

公務員の年金制度は2階建てのしくみで、
1階部分が国民年金(老齢基礎年金)
2階部分が厚生年金保険(老齢厚生年金)です。
さらに公務員独自の制度として「年金払い退職給付」が設定されています。
  • 公的年金制度概要図(一元化後)

国民年金(老齢基礎年金)

国民年金は日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入しなければならない公的年金です。
被保険者は第1号被保険者 / 第2号被保険者 / 第3号被保険者の3種類に分類され、公務員は第2号被保険者に分類されます。

第2号被保険者の保険料は事業主と折半で、給料から天引きされて国に納められています。
なお老齢基礎年金の支給開始年齢は65歳です。給付額は保険料を納付した期間に応じて決まります。

厚生年金(老齢厚生年金)

厚生年金の加入者は国民年金の第2号被保険者です。
保険料は労使折半で、月ごとの給料に対して定率(18.3%)で計算されます。人によって給料の額は異なるため、厚生年金の保険料納付額も人によって異なります

なお老齢厚生年金の支給開始年齢は従来60歳でした。現在は段階的に引き上げられており、2025年度(女性は2030年度)には65歳となります。

年金払い退職給付

年金払い退職給付は公務員独自の制度で、有期年金と終身年金の積立方式のしくみです。一般的な会社員でいう企業年金に相当します。

 ● 有期年金受給期間は10年または20年から選択。一時金としても受け取れる。
       受給期間中に受給者が亡くなった場合、残存期間相当分を遺族が受け取れる

 ● 終身年金生涯にわたり受給できる。受給者が亡くなると受け取りは終了する

参考:制度改正前の公務員の年金制度

2015年の制度改正以前、公務員の年金制度は3階建てのしくみでした。
  • 2015年以前
引用:私学共済ブック 2024年・2025年 p86

1階部分の国民年金(老齢基礎年金)は会社員と変わらず、2階は共済年金の給与比例部分、そして3階は共済年金の職域部分と手厚い構成でした。「公務員の老後は安泰」といわれていたゆえんでもあります。
しかし会社員との違いから不満の声も多く、公平性の確保と公的年金制度に対する信頼感向上のため、制度改正にいたります。

制度改正によって2階部分は厚生年金に統一され、保険料の負担率も上昇します。また3階の職域部分は廃止され、代わりに「年金払い退職給付」が新設されました。
従来は保険料の負担がありませんでしたが、改正によって将来の自分の年金を自分で積み立てる方式へと変わりました。

会社員との不公平感は小さくなったものの、公務員にとっては苦い改正といえます。

公務員は年金をいくらもらえる?

  • 公務員は年金をいくらもらえる?
公務員がもらえる年金の相場は、月額およそ16万7,000円です。
下記の公務員Aさんを例に、くわしくみてみましょう。

【Aさん】
 ● 22歳から60歳まで勤続38年
 ● 国民年金は満額支払っている
 ● 平均標準報酬月額(老齢厚生年金の計算のもととなる月収):40万5,000円

なお平均標準報酬月額の40万5,000円は国家公務員共済組合連合会のモデル年金額を参照しています。


老齢基礎年金】
Aさんは国民年金を満額支払っているため、毎月6万8,000円の老齢基礎年金を受け取れます。


【老齢厚生年金】
老齢厚生年金の計算式は下記のとおりです。
老齢厚生年金の受給額=平均標準報酬月額×(5.481 / 1000)×加入月数

上の式に数字を当てはめてみると
Aさんの老齢厚生年金受給額=40万5,000円×(5.481 / 1000)×456ヵ月=101万2,231円
1ヵ月に換算すると8万4,352円となります。
(ここでは便宜上2003年4月以降の料率を用いて計算)


【年金払い退職給付】
年金払い退職給付は、有期退職年金(10年または20年)と終身退職年金の2種類があります。
有期退職年金は受給期間20年を選択したとすると、毎月の受給額は下記のとおりです。

 ● 有期退職年金:8,191円
 ● 終身退職年金:7,125円
 ● 合計:1万5,316円
参照:令和5年10月からの基準利率と年金現価率 | 年金 | KKR-国家公務員共済組合連合会


したがって老齢基礎年金、老齢厚生年金、年金払い退職給付(退職後20年間)の合計額は16万7,668円となります。
計算式:6万8,000円+8万4,352円+1万5,316円=16万7,668円

なお、厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、第2号被保険者が受け取る老齢年金(老齢基礎年金+老齢厚生年金)の平均額は月額14万4,982円でした。
公務員の場合、老齢年金は15万2,352円ですから、一般的な第2号被保険者よりもわずかに多い程度といえます。

公務員は退職金をいくらもらえる?

  • 公務員は退職金をいくらもらえる?
公務員といっても、国家公務員と地方公務員の大きく2種類にわかれ、さらに職種や勤め先の自治体などによって給与体系が異なります。

内閣官房内閣人事局が2023年に発表した集計によれば、国家公務員の退職金は下表のとおりです。
なお行政職俸給表(一)適用者とは、公務員のなかでも大臣や裁判官といった専門職ではなく行政事務全般に従事する職員を指し、採用も多い職種です。また応募認定とは定年前の募集による退職を表します。
  • 退職手当
参照:退職手当の支給状況

一方で、地方公務員となると所属は都道府県 / 政令指定都市 / 市区町村などさらに細かく分かれています。

ここでは一例として、都道府県に勤務する一般行政職の退職金をみてみましょう。
総務省がおこなった「令和4年地方公務員給与実態調査」によると、退職金の平均額は2,205万円でした。

また全国47都道府県のうち静岡県が2,384万円でもっとも多く、次いで愛知県、東京都は3番目で2,312万円です。
ほか神奈川県が2,255万円、埼玉県は2,192万円で、佐賀県を除く46都道府県で2,000万円を上回る結果となりました。

参考までに、厚生労働省が発表している「令和5年就労条件総合調査」にて一般的な会社員の退職金をみてみると、大学・大学院卒の定年退職者で平均1,896万円の給付額です。

退職金に関しては、公務員のほうが100万円〜200万円程度多く受け取れるといえます。

安泰といわれる公務員も老後のプランをしっかり考えるべき時代

【公務員の年金】
 ● 月額16万7,000円

【公務員の退職金】
 ● 国家公務員:2,100万円 / 地方公務員:2,200万円
   (職種や勤務先の自治体によって異なる)
公務員の年金・退職金は一般平均的な老齢厚生年金・退職金とくらべればやや高いといえます。とはいえ、わたしたちに大きな衝撃を与えた老後2,000万円問題も気がかりな方が多いでしょう。
事実、「国からもらう公的年金だけでは余裕ある生活ができないと感じる」との声もよく寄せられます。

不安を解消するためには、年金と退職金にくわえて老後にいくら必要なのか、どのように準備すればよいのか把握することが第1歩です。

『ライフプランシミュレーション』を作成すれば、将来の家計が可視化でき、計画も立てやすくなります。
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