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一戸建て・マンション価格の推移と今後はどうなる?インフレをふまえて考えよう<前編>

2023年3月9日
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2022年頃からインフレや円安の動きが顕著です。インフレはモノやサービスの値段が上昇することです。電気料金をはじめ身のまわりのさまざまな商品の値上がりが続いているため、インフレを肌で感じている方も多いでしょう。
もちろん不動産も例外ではありません。住宅は高額な買いものであり、長きにわたってローンの支払いが続きます。
「このままインフレが続いたら、ローンを支払えるだろうか」
「マイホームはほしいけれど、首が回らなくなるのでは…」と心配になりますよね。

そんな不安を解消できるように、知っておきたい日本の現状・基礎知識を前編と後編に分けてお伝えします。
前編の今回は次の4つについて解説します。

2023年も続く値上げラッシュの背景

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スーパーマーケットに行けば食料品や飲みものなど身近な商品の値上がりを体感している方も多いでしょう。商品の値段そのものが高くなるだけではなく、価格は据え置きにして内容量を減らす実質的な値上げの動きも広がっています。
値上げラッシュのおもな原因は原材料価格の高止まりです。背景には次の4つがあげられます。
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  • 1. 地球温暖化による猛暑や自然災害
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  • 2. ロシアのウクライナ侵攻
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  • 3. 新型コロナウイルスの落ち着きによる需要の回復
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  • 4. 急激な円安
農作物は天候不良や戦争・紛争によって生産量が左右されます。天候不良による不作はなんとなく想像がつきますよね。地球温暖化で猛暑や自然災害が多発しており、天候不良が増えています。

現在はロシアのウクライナ侵攻で物流が滞り、さらにコロナ禍が落ち着いて需要が回復しているため、原油や農作物など原材料の価格が高騰しているわけです。原油やガスの価格が上がれば電気代やガソリン代も上がり、商品の生産や輸送のコストが高まります。

また急激な円安で輸入にかかるコストも大きくなり、原材料の多くを輸入に頼る日本にとっては大きなダメージです。(円安については後ほどくわしく解説します)。
企業が利益を確保するにはこうしたコストが上がったぶんを商品の価格に上乗せしなければいけません。しかしこれだけの値上げラッシュでも、企業はコストを完全に商品価格に転嫁できているわけではないといいます。
2022年から続く値上げラッシュは2023年も続く見通しです。

諸外国での金利の上昇

日本では金融緩和が続いていますが、海外諸国では金利の引き上げが活発です。
金融緩和とは
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景気が悪いときに中央銀行(日本なら日本銀行)がとる施策。政策金利を引き下げたり、銀行から資産を買い上げたりして景気の上昇を促します。
政策金利が下がると銀行の貸出金利も下がり、企業や個人は借り入れがしやすくなるため経済活動の活発化を期待できます。
また銀行が持っている国債を中央銀行が買い上げると銀行にはお金が増えますが、利益を得るためにはお金を貸し出さなければいけません。銀行はお金を借りてもらおうと貸出金利を下げるため、政策金利の引き下げと同じ効果を見込めます。
コロナ禍で落ち込んだ景気を回復させるために、世界中で金融緩和の動きがみられました。結果、日本と同様に各国でもモノの値段は上昇傾向にあります。ここまでは日本も海外諸国も同じ動きでした。物価の上昇を抑えるために、日本をのぞく各国は今までとは逆に政策金利を引き上げる方向に動いています。
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各国政策金利 | FX・外貨両替のマネーパートナーズ -外為を誠実に- (moneypartners.co.jp)

上の図はアメリカ、イギリス、オーストラリア、EU、日本の政策金利の動きです。2020年に始まったコロナ禍から2021年前半にかけて海外各国・地域で政策金利が引き下げられ、2021年の後半からぐんぐん引き上げられています。

日銀は金融緩和を引き続き維持する方針で、日本では金利が上がる動きはまだみられません。しかし2023年4月に日銀総裁の任期が終わるため、金融政策の方針が変わる可能性もあります。またもし政策金利が引き上げられれば、住宅ローンの変動金利も上がることになります。

値上げラッシュから見える悪いインフレ

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値上げラッシュから分かるように、物価の上昇つまり「インフレ」が起きています。インフレには良いインフレと悪いインフレがあり、現在起きているインフレは悪いインフレです。悪いインフレとはわたしたちの消費意欲や賃金が上がらないなかで、原材料やエネルギーなどコストが高くなるために物価が上昇する状態です。

これまでにも述べましたが、コロナ禍でおこなわれた金融緩和策やロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格、穀物価格の上昇がインフレを招いています。
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日本の消費者物価指数(CPI)、1月4.2%上昇 円安や資源高で - 日本経済新聞 (nikkei.com)

事実、インフレを測る指標といわれる消費者物価指数は2023年1月に41年4ヵ月ぶりの上昇率となりました。今回おもに上昇した品目は食料品やガス代・電気代、家電製品などです。土地や住宅の購入は消費者物価指数の品目に含まれません。しかしインフレ下ではモノの値段が上昇する、お金の価値が下がるため、住宅やマンションの価格も高くなる傾向にあります。

消費者物価指数とは
物価の変動を測る指数です。世界各国で発表され、各国・各地域のインフレの動きを測る重要な指標として注目されます。日本では日銀が金融政策の判断材料とするほか、賃金や家賃、公共料金を改定する際の参考にされるなど幅広く利用されます。
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『消費者物価指数』ってなんですか?/茨城県 (pref.ibaraki.jp)

かんたんに説明すると、日々の暮らしに必要な商品をすべてひとつの買いものカゴに入れて、かごに入った商品全体の値動きを指数にしたものです。2023年現在発表されている消費者物価指数は2020年の物価を100として算出し比較した数値です。
2020年時点でカゴの中身30万円だったのが、2023年には31万5,000円になったとしましょう。総費用は5%高まっているため指数は105.0となります。
インフレについてもっと知りたい方はこちらの記事でくわしく解説していますので、ご覧ください。

金利の差が引き起こす円安

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円安とは、ドルやユーロなど海外の国・地域の通貨に対して日本円が安くなることをいいます。アメリカのドルを例に解説します。

例:1ドル=100円から1ドル=150円になった
ドルが高くなったため、相対的に日本円は安くなりました。つまり円安に動いたといえます。
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USD/JPY | Google Finance

2022年は急激に円安が進んだ年でした。1ドル=115円程度で推移していたドルと円の為替は2022年4月に130円台になり、10月には一時150円をつけました。年末から少し落ち着いているものの、まだ130円台を推移しています。

円安が進んだ要因はおもに3つあります。
1. 日本の貿易赤字
2. アメリカとの金利差
3. ウクライナ情勢の緊迫化


日本は原材料やエネルギーなど多くの品物を輸入に頼っており、建物を建てるための建材も例外ではありません。円安によって建材の輸入価格が上がれば、住宅やマンションの価格も上昇する可能性があります。

1. 日本の貿易赤字
2022年1月、日本の貿易収支が赤字となりました。貿易赤字によって経常収支(貿易や投資などでどれだけ稼いだかを表す統計)も2ヵ月連続で赤字になり、赤字の幅は過去2番目の悪さを記録しました。
輸出も伸び悩み、「日本には稼ぐ力がない、日本の経済には期待できない」として日本円を手放す動きが進みました。

2. アメリカとの金利差
金利の推移を表した図から分かるとおり、アメリカは継続的に利上げをおこない、日本との金利差が開いています。金利が低くて利息がつかない通貨よりも、良い利息をもらえる通貨のほうが投資するうまみがありますよね。ですから日本円が売られて、ドルが買われているわけです。

3. ウクライナ情勢の緊迫化
ウクライナ問題は為替にも影響を与えています。アメリカのドルは流通量が非常に多く、流動性の高い通貨です。「有事のドル買い」という格言があるほどで、戦争や紛争といった有事の際にはドルを買っておけば安心だという経験にもとづいた法則です。
ウクライナ情勢が緊迫化した10月に「有事のドル買い」の動きがみられました。

インフレ下だからこそマイホームの購入はより計画性が大切

値上げラッシュからも分かるインフレは、2023年もまだ続く見通しです。一戸建て・マンションどちらにしても大きな買いものですし、住宅ローンも長期間にわたって返済していくものだからこそ、より計画性を持った購入が大切です。

今回は住宅・マンション購入にあたり前提として知っておきたい日本の現状をお伝えしました。後編では住宅の価格や住宅ローンなどさらに具体的な内容をお届けします。

インフレを必要以上に不安に感じるのではなく、知識を身につけてご自身・ご家族で適切に判断するヒントになれば幸いです。

あわせて読みたい:「一戸建て・マンション価格の推移と今後はどうなる?インフレをふまえて考えよう<後編>
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