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インフレって何?資産への影響や対策を分かりやすく解説 【前編】

2023年1月30日
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2022年は電気代やガソリン代、食料品の値上がりが目立った年でした。
ニュースなどで「インフレ」という言葉を見聞きする機会が増えたように感じませんか。
「インフレといえば物価が上がることだ」と理解している方も多いでしょう。そのとおり、インフレはモノの値段が高くなることです。

今回はインフレについてもう少し掘り下げ、
インフレが起こると世の中や資産はどうなるのか、またその対策を前編と後編に分けて解説します。
前編の本記事ではまずインフレの基本を押さえましょう。

インフレとは

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たとえば1枚2,000円で買えるTシャツがあるとしましょう。このTシャツが2倍に値上がりして4,000円になりました。今までは4,000円あればTシャツを2枚買えたのに、今は4,000円で1枚しか買えません。つまりお金の価値が1/2になってしまったといえます。

このようにインフレは物価が上がる反面、「お金の価値が下がる」側面を持っています。
お金の価値が下がると聞くと、良くないことのように感じるかもしれません。しかし好景気でお金のめぐりが活発になると物価も上がる傾向にあります。
インフレが必ずしも悪だとはいいきれません。
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国内統計:消費者物価指数|新型コロナが雇用・就業・失業に与える影響(新型コロナウイルス感染症関連情報)|労働政策研究・研修機構(JILPT)
物価の動きを知るには総務省が発表する「消費者物価指数(CPI)」に注目すると良いでしょう。2022年11月は3.8%でした。上の図を見ると2022年に入って急激に上昇しているのが分かります。

インフレが起こる原因

ではインフレはどうして起きるのでしょうか。以下がおもな原因です。

♦ 好景気
♦ 需要の増加
♦ 賃金の上昇
♦ 原材料費の上昇
♦ お金の流通量の増加
♦ 海外の影響
♦ 為替の影響

これらのうち複数の要素が互いに影響しあってインフレが起こります。

”良い”インフレと”悪い”インフレ

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物価が上がると家計が厳しくなるように感じますよね。しかし実は消費が増えて、結果的に生活に良い影響を与える「良いインフレ」もあります。ポイントは収入(給料)の上昇です

”良い”インフレ
良いインフレは次のような景気の循環をもたらします。

モノが売れる→需要が増える→モノの値段が上がる→企業が儲かる→従業員の給料が増える→さらに消費が活発になり、モノが売れる→…

わたしたちの収入も上がり、お金がよくめぐる、好景気の状態です。需要の増加や景気の拡大によって起こるインフレを「ディマンド・プル・インフレ」ともいいます。

”悪い”インフレ
一方で悪いインフレもあります。

災害や気候の変動、戦争などで原材料の値段が上がる→企業は商品の値段(物価)を上げざるをえない→需要が増えているわけではないので企業は利益が出ない→従業員の給料は上がらない→物価が上がっているのに収入が増えないので家計が苦しくなる→消費を控える→モノが売れないので企業も利益が出ない→…

良いインフレとは逆で、物価が上がっても収入が上がりません。こうした原材料費の高騰によって起こるインフレが「コスト・プッシュ・インフレ」です。
また景気が停滞しているのに商品やサービスの値段が上がることを「スタグフレーション」といいます。

日本の状況

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日本は今、どんな状況でしょうか。
日本は長らく「デフレーション(デフレ)」が問題とされてきました。デフレはインフレの逆で物価が下がりつづける状態です。2013年に発足した安倍政権は「インフレ率2%」を目標に掲げていました。
ところが最近は電気代やガソリン代、食品、電化製品などの値上げが目立ちます。新型コロナウイルスや世界情勢の影響で、資源をはじめモノをつくるための原材料の価格が上がっているからです。

● 新型コロナウイルスの影響
海外ではロックダウンをする都市も見られ、モノの生産や物流が停滞しました。しかし需要が減ったわけではありません。結果として原材料や商品がニーズに対して不足する状態となり、モノの価値が高まってインフレが進んでいます。

● 原材料の高騰
いわゆるコロナ禍も世界情勢に影響を与えましたが、さらにロシアによるウクライナ侵攻の問題も加わります。コロナ禍では半導体の不足が問題となりました。またウクライナ危機では原油などの資源や、小麦をはじめとする穀物の価格が上昇しました。
とくに原油の使い道は幅広いため、いろんなモノの値段に影響を与えます。

インフレに弱い資産

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インフレが起こると企業の利益やわたしたちの収入、家計に影響がおよぶと分かりました。ではインフレによってわたしたちの資産はどうなるのでしょうか。
冒頭で「インフレはお金の価値が下がること」とお伝えしたように、現金や預貯金の価値は下がってしまいます。インフレに弱い資産のポイントは「将来受け取れる額面が、今の時点で決まっているかどうか」です。具体的には現金・預貯金、保険、年金があげられます。

● 現金・預貯金
Tシャツの例を思い出してみてください。Tシャツの値段が2倍になると、お金の価値は1/2になりましたね。つまり、もし20年後に物価が2倍になったとしたら、現金は今の半分の価値しかなくなってしまいます。
もうひとつ例をあげてみましょう。もし物価が1年で3.8%上がるとするなら、銀行の預金金利も3.8%以上なければ預貯金の価値は減ってしまいますね。ところが現在の預金金利は1.0%どころか0.1%にも満たない超低金利です。預貯金でインフレに対応するのは難しいでしょう。

● 保険
保険もインフレに弱い資産のひとつです。保険では将来受け取る保険金の額を、契約するときの経済状況で決めてしまうからです。
たとえばお子さんの進学費用にあてるため、20年後に2,000万円を受け取れる保険を今契約したとします。しかしTシャツのお話と同じように、大学の授業料が2,000万円から20年後には3,000万円へと値上がりしていたら…。
あらかじめ受け取る保険金を決めてしまうために、保険もインフレには対応しにくい性質があります。

● 年金
年金もまたインフレには弱い資産といえます。2023年1月現在の年金制度はマクロ経済スライドと呼ばれるルールを取り入れているためです。マクロ経済スライドは物価や賃金の動向に応じて年金の支給額を調整するしくみです。
物価が上昇すれば年金の支給額も上がります。しかし支給額の増額率は物価の上昇率よりも低いため、金額としては増額しても実質は目減りしているといえます。

インフレが日本円や外貨預金に与える影響

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ここからは外国の通貨に対する「日本円」の側面に注目して、インフレと為替について見ていきましょう。

● 日本円
ここではiPhoneを例にして考えてみます。
アメリカではiPhone1台が$1,000だとします。同じiPhoneを日本では1台10万円で販売しています。インフレが起きて、日本ではiPhoneが1台20万円になったとしましょう。一方アメリカでは変わらず1台$1,000のままだったとしたら。

iPhone1台=$1,000=10万円だったのが、iPhone1台=$1,000=20万円になりました。
この状況では$1,000が10万円から20万円になったといえます。$1に換算すると100円から200円になりました。ドルが高くなっている、つまり円が安くなっているわけです。
このように日本でインフレが起きると日本円は海外の通貨に対して安くなる傾向にあります。

● 外貨(外貨預金)
日本でインフレが起きれば一般的には日本円の価値が下がるため、ドルやユーロといった外貨は日本円に対して高くなります。
ところが2022年は日本だけでなく世界各国でもインフレが起こりました。アメリカを見ると2022年11月のインフレ率は7.1%と日本よりも高い水準です。
アメリカは景気の過熱を抑えるために、金利の引き上げをおこなってきました。金利が上がれば銀行からお金を借りにくくなり、経済活動を抑えられる効果があるからです。
金利の引き上げは預金金利の上昇にもつながりますから、外貨預金の利率も上昇します。
2022年は円安と外貨預金の利率アップが重なり、ある銀行では外貨預金の購入額が4ヵ月で2.6倍にもなったそうです*

おわりに

2020年から始まったコロナ禍などが原因で、日本だけでなく世界各国でもインフレの状況が続いています。また現金・預貯金、保険はインフレに対応しづらい資産です。将来、資産が目減りするかもしれないと危機感を抱く人も増えています。
後編ではインフレの対策にも触れますので、参考になれば幸いです。

後編はこちらから

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