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親の介護から相続まで〜親が元気なうちに話しておくとよいこと〜【後編】

2023年5月23日
  • 介護から相続まで
働きざかりの世代にとって、親の介護や相続の手続きは大きな負担となります。人は必ず老いていくもので仕方のないことではありますが、できれば親子お互いのストレスや負担を少なくしたいと思うのも自然です。
前編では、親が元気なうちに話し合っておきたいポイントとして次の3点を挙げました。

 ●介護の方針
 ●葬儀の希望
 ●相続の内容


後編では相続について深掘りし、準備しておきたい内容を具体的にお伝えします。
なお今回は「どこかに控えておくべき情報」を多くお伝えします。前編で紹介したエンディングノートをぜひ準備し、1冊にすべてがまとまっている状態にしておいてもらいましょう。

1.相続手続きの準備

  • 相続手続きの準備
相続手続きをスムーズに進めるためにも、次の6点をわかるようにしておいてもらいましょう。
  • Check
  • 1.戸籍
  • Check
  • 2.企業年金
  • Check
  • 3.保険書類
  • Check
  • 4.銀行口座・証券口座
  • Check
  • 5.クレジットカード
  • Check
  • 6.運転免許証・健康保険証
なぜなら多くの相続手続きには期限が定められているからです。例として、相続放棄は「相続の開始があったことを知った日の翌日から3ヵ月以内」ですし、相続税の申告・納付は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内」とされています。
(「相続の開始があったことを知った日」は、被相続人(故人)が亡くなった日であることが一般的です)。
質問
相続放棄とは
回答
相続人が被相続人(故人)の財産や債務を相続する権利を放棄すること。
たとえば負債が多く、財産を受け継ぎたくない場合に相続放棄をすれば、相続のすべてを放棄できます。
相続放棄をするにも、どんな財産が遺されているのか知らなければ判断ができませんよね。今のうちから少しずつ、できることから準備を始めておきましょう。
1. 戸籍
相続の手続きでは2種類の戸籍謄本が必要です。

 ●故人の出生から死亡までの連続したすべての戸籍謄本
 ●相続人全員の現在の戸籍謄本


戸籍謄本によって法定相続人が明らかになります。
質問
法定相続人とは
回答
民法の定めによる、被相続人の財産を相続できる人。
被相続人の配偶者と、被相続人の血族。
生まれてから亡くなるまで、本籍地が変わらなかった場合はひとつの役所ですべての戸籍謄本が揃います。しかし結婚や離婚などで本籍地が転々と変わっている場合には、本籍地としたすべての役所へ戸籍謄本を請求しなければなりません。
郵送でも請求できますが、必要な書類が一度で揃わない可能性も…。過去に本籍地をどこに置いてきたか確認しておくと戸籍の収集が楽になるでしょう。

2. 企業年金
日本の年金制度は下図のように3階建ての構造をしており、企業年金は3階部分に属します。
  • 年金
日本の年金制度 | 年金の基礎知識 | 企業型確定拠出年金
故人が企業年金や確定拠出年金に加入していた場合は、手続きをすれば遺族が一時金を受け取れる可能性があります。
ただし企業年金の未支給分は、在職中に亡くなった場合/受給中に亡くなった場合、どちらも相続税の課税対象である点には注意しましょう。

 ●在職中に亡くなった場合
  ー 故人が受け取るはずだった退職金が「死亡退職金」として遺族に支払われる。「500万円×法定相続人の数」までは非課税となる。
 ●受給中に亡くなった場合
  ー 残りの受給期間分の企業年金が遺族に支払われる。死亡退職金のような非課税枠はない。

3. 保険書類
保険にも生命保険や損害保険などさまざまな種類がありますが、どの保険でも次の6点を把握しておきましょう。

 1. 保険証券の保管場所
 2. 保険会社
 3. 保険の種類(特約の内容も含む)
 4. 保険金の受取人
 5. 指定代理請求人
 6. 保険料の支払い(亡くなったあとも保険料を支払う必要があるのか)


とくに死亡保険金が受け取れる生命保険については、必ず親子で共有しましょう。亡くなったあとは預貯金の引き出しが難しくなりますが、保険金なら手続きすれば比較的すみやかに支払われるためです。葬儀代の支払いなどに充てられ、金銭面で大きな助けとなります。

4. 銀行口座・証券口座
利用している銀行・証券会社の口座については次の6点を控えておいてもらいましょう。

 1. 銀行(証券会社)名
 2. 口座番号
 3. 各金融機関で使用している印鑑
 4. 3の印鑑の保管場所
 5. (あれば)通帳の保管場所
 6. (ネット銀行・ネット証券の場合)IDとパスワード


銀行口座や証券口座を複数お持ちの方は、口座を整理すると管理が楽になるためおすすめです。次の3種類を目安に絞ると、わかりやすく管理できます。

 ●年金の入金やカードの引き落としがある「決済用」の銀行口座
 ●「貯蓄用」の銀行口座
 ●「投資用」の証券口座


口座の解約は金融機関の窓口のほか、オンラインや郵送でも受け付けています。ひと手間ではありますが、口座をまとめておくとご家族だけでなく、利用者本人にとってもシンプルでわかりやすくなりますよ。

5. クレジットカード
クレジットカードについても、次の情報をメモしておいてもらいます。

 ●カード番号
 ●有効期限

ただしクレジットカードについても、複数枚お持ちの方は使っていないカードや使用頻度の低いカードを解約し、整理していくことをおすすめします。
カードを整理する際には、できれば利用明細に目を通し、サブスク契約もあわせて見直しましょう。不要になってしまった契約、じゅうぶんに使いきれていない契約があれば、解約して整理します。

6. 運転免許証・健康保険証
運転免許証と健康保険証は、亡くなったあとに返却する必要があります。両方とも保管場所を書いておいてもらいましょう。「外出するときには運転免許証・健康保険証をつねに持ち歩く」という方は、カードケースやよく持ち歩くカバンもメモしておくと安心です。
免許証と保険証の場所をわかるようにしておくと、たとえば救急車で病院に搬送されることになったときなど、ご家族が保険証を探さなければいけない状況でも役立ちます。
なお、マイナンバーカードは死亡届を提出すると失効するため、返却や抹消の手続きは必要ありません。

2.すぐにでも取りかかりたい「デジタル終活」

  • デジタル終活
PCやスマホが普及した現在、気をつけたいのはデジタル遺品です。デジタル遺品はPCやスマホなど、故人のデジタル機器またはクラウド上に保存されたデータを指します。
たとえばGoogleといったWebサービスのアカウントや、ネット銀行のアカウントなどが含まれます。
総務省による令和3年通信利用動向調査の結果を見ると、60代で84.4%、70代でも59.4%がインターネットを利用しており、「デジタル遺品は誰しもあってあたり前」といっても過言ではありません。
デジタル遺品の厄介な点は、カードや書類などの「形」として残らず、存在が分かりにくいこと。そしてメールアドレスやID、パスワードが分からなければお手上げ状態になりうることです。
デジタル遺品を整理していく「デジタル終活」には早めに取りかかってもらうことをおすすめします。4つの手順で説明します。
  • Check
  • 1.スマホやPCのログインID・パスワードを控える
  • Check
  • 2.デジタル遺品を書き出す
  • Check
  • 3.デジタル遺品を整理する
  • Check
  • 4.(エンディングノートに)記録する
1. スマホやPCのログインID・パスワードを控える
最低でもやっておくべきは、デジタル機器のログインID・パスワードの記録です。
 ●スマホ
 ●PC
 ●タブレット
など、デジタル機器にログインできればある程度の情報を探し出せます。
パスワードについては、文字列をそのまま書き残すのではなく、家族だけがピンとくる書き方にしておくと安全です。
たとえば「妻の旧姓・ローマ字・子音は大文字」、「愛犬の誕生日・数字4ケタ」など、他人には分からないが家族にはわかる程度が適切といえるでしょう。

2. デジタル遺品を書き出す
デジタル遺品の具体例として下表のようなものが挙げられます。
人によってはデジタル遺品が多くあり、洗い出しも大変かもしれません。次の手がかりを参考に、引き継ぎが必要なデジタル遺品を拾ってみてください。

 ●スマホにインストールしているアプリ
 ●インターネットブラウザの「お気に入り」
 ●クレジットカードの明細

3. デジタル遺品を整理する
デジタル遺品を洗い出したら、グループに分けて整理していきましょう。

 ●お金が関わるもの / お金が関わらないもの
 ●残すもの / 処分するもの

2つの軸でグループ分けをして、「お金が関わるもの」から優先度高く整理します。不要なサブスク契約や、残高がほとんどない証券口座などを解約しましょう。また家族にも見られたくない写真やデータがあれば、鍵をかけておきましょう。

4. (エンディングノートに)記録する
デジタル遺品を整理したら、必要な情報を記録しておきます。

 ●ログインID・パスワード
 ●亡くなってから解約してほしいサービス
 ●亡くなっても残しておいてほしいもの など

上記をエンディングノートまたはスマホ・PCのメモなど、わかりやすい場所に記録・保存して、保存場所を家族に伝えてもらいます。
長く続けてきた趣味の作品やブログなどは、本人でなければ取り扱いの判断をなかなかしづらいものです。希望をはっきりさせておくと良いでしょう。

必要な情報をわかるようにまとめ、形のない「デジタル遺品」は入念に確認を
今回は相続の準備についてお伝えしました。終活やエンディングノートは「死」を想起するために、親が元気なうちはなかなか切り出しづらいかもしれません。しかし相続の準備は亡くなったときだけでなく、認知症などで判断力が鈍ってしまったとき、介護状態になったときにも役立つものが多くあります。
「万が一のとき、きちんとサポートしたいから」と寄り添う姿勢で、親子で協力してできることから取り組んでいきましょう。
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