単身赴任で苦しい家計にFPがアドバイス!二重生活は出費がかさんであたり前

2025年5月9日
執筆者:土屋 ごう
単身赴任で苦しい家計にFPがアドバイス!二重生活は出費がかさんであたり前
夫婦どちらかが転勤になった際、パートナーの仕事や子どもの学校を考慮して単身赴任を選ぶご家庭も少なくありません。そして単身赴任をすれば二重生活となりますから、家族一緒に暮らしていたときよりも家計が厳しくなるのは当然です。
とはいえ、そうとわかっていてもお金の余裕は心の余裕につながりますし、お子さんの教育費や老後資金など、将来が不安になってしまうかもしれません。

そこで本記事では、単身赴任による家計の苦しさへの向き合い方と対応を、FPの観点からお伝えします。

大前提:一時的なものだから心配しすぎない

大前提:一時的なものだから心配しすぎない
単身赴任で家計が苦しくなる期間は、多くの家庭にとって長い人生のうちの一部です。単身赴任を「点」でなく「線」で捉えて、今は家計が苦しくても後で巻き返せばよいと大きく構えておきましょう。
ここではもう少しくわしく、予期せぬ転勤で単身赴任する場合と、そもそも転勤族で単身赴任をする場合について、それぞれ考え方をお伝えします。

予期せぬ転勤(単身赴任)の場合

「うちは転勤なんてないと思っていたのに、地方に異動になってしまいました」
当所にご相談に来られる方のなかにはこうしたご家庭もみられます。
心の準備もお金の準備もない状態での転勤・単身赴任ですので、生活費の増加をストレスや不安に感じるのも当然です。

ただし「まさかの転勤」では、3年〜5年と、あらかじめ転勤の期間が決まっているケースも少なくありません。期間が限られているのなら、単身赴任による数年間の赤字は一時的なものです。心配しすぎる必要はありませんし、単身赴任を終えてから黒字化できれば問題ありません
転勤が昇進・昇格のステップとなることも多いため、今は苦しくても、今後出世によって収入が増えれば、将来的には家計に余裕が生まれやすくなります。

転勤(単身赴任)と家計を点ではなく線で捉え、もし今家計が赤字だとしても、「単身赴任が終わってから巻き返せばよい」という視点を持ってみてください。

もともと転勤族の場合

そもそも転勤を前提とする職掌(総合職など)で働く、いわゆる転勤族の場合は、単身赴任が長くなりやすいものの、家計の逼迫は起こりにくいといえます。
なぜなら、転勤を前提とする職掌については、そもそもの給与テーブルをほかの職掌よりも高めに設定している企業が多いからです。また、こうした企業では住宅手当や単身赴任手当などの各種手当・補助も比較的整備されているといえます。

さらに、転勤族は家族のライフプランに最初から転勤を織り込んでおけます。マイホームの購入や単身赴任を始める時期について計画を立てておけるため、家計を管理しやすいでしょう。

裏返せば、とくに出費がかさむ時期でもないのに慢性的な赤字状態なら、一度家計を精査したほうがよさそうです。たとえば、お子さんが私立中学や大学に在学中であれば教育費がかさむため、家計が苦しくなるのは自然です。こうした出費要因がなければ、固定費や日頃の支出を見つめ直してみましょう。

それでも家計の苦しさがストレスになってしまうときの対応

それでも家計の苦しさがストレスになってしまうときの対応
単身赴任と出費の多い時期が重なっている、お金の使い方を意識しているのに家計が苦しいと、がんばっているのに報われていない気がして、つらくなりますよね。
ここでは、家計の苦しさがおもに「単身赴任による二重生活」にある場合の対応策を紹介します。

主婦・主夫なら収入を増やしやすい

もしも片働きの単身赴任世帯なら、パートや就職などで収入を増やすことを考えてみましょう。
家庭の事情もあるでしょうから、もちろん無理のない範囲でかまいません。しかし、「扶養の範囲」を気にして仕事をセーブする必要はありません。社会保険に加入すれば、今現在の収入だけでなく、将来の年金も増やせるからです。
参考:結局、年収129万円以下のパートなら扶養範囲内?FPが解説します!
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年末調整や確定申告のシーズンになると、「扶養」という言葉をよく耳にしますよね。パート・アルバイトの経験がある方なら「収入は扶養範囲内に収めるほうが得だよ」と言われたことがあるかもしれません。…ところで、そもそも扶養とは何かご存知ですか?扶養範囲から外れたら本当に損をするのでしょうか?…
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外に働きに出るのが難しければ、今は在宅で取り組める仕事も多くあります。たとえばフリーランスはパートや会社員として働くよりも収入は不安定で厚生年金にも加入できませんが、それでも収入は今よりプラスになるでしょう。

節約で生み出せる余裕は限られており、多くても月に数万円程度です。また、節約がストレスとなってしまうおそれもあります。片働き世帯なら、できるだけ収入アップを目指してみましょう。

共働きは家族帯同を再検討しよう

共働きとなると、収入アップはなかなか難しくなります。家族で熟考したうえで単身赴任を選んだとは思いますが、どうしても家計が苦しいなら家族帯同を今一度検討するのもひとつの方法です。

近年は、リモートワークを認める企業や、家族同行制度配偶者同行休職制度を設ける企業も増えています。
まずリモートワークが可能な業種・職種であれば、会社に相談してみましょう。
家族同行制度とは、配偶者の転勤に合わせて勤務地変更を認めるしくみです。配偶者の転勤先に自社の支店・支社があり、さらに空席がある場合には異動が認められます。
また、配偶者同行休職制度はおもに海外赴任の場合に利用できる制度です。会社に在籍したまま、一定期間仕事を休んで配偶者に帯同できるしくみです。
とくに大手企業やベンチャー企業では、社員からのこうした相談に対して、柔軟に対応してくれるところが増えています。

帯同するとなると、気になるのはマイホームとお子さんの学校ですよね。
マイホームはリロケーションで賃貸に出すか、空き家管理サービスの利用が現実的です。
参考:転勤で持ち家はどうする?単身赴任が正解?お金の面からFPが解説します
転勤で持ち家はどうする?単身赴任が正解?お金の面からFPが解説します
「夫婦共働きでマイホームもあるのに、パートナーの転勤が決まってしまいました」――当所にはこうしたご相談も寄せられます。単身赴任と帯同のどちらを選ぶかは、パートナーの働き方やお子さんの年齢、転勤の期間などを考慮して判断することになり、それぞれ家計に与える影響も異なります。…
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次に、お子さんの転校についてです。人間関係のリセットや進学への影響を理由に転校をネガティブに捉える人も多くみられます。しかし、転校はデメリットばかりではないとわたしは考えています。
何より家族で一緒に過ごせる時間が増えますし、別れもある一方で新しい出会いもあります。これまでみたことのない景色や新しい価値観にふれる経験を通じて、環境適応力が育まれるでしょう。

単身赴任がいつ終わるのかわからない、長引きそうな場合にはとくに、家族帯同を再検討してみましょう。

節約でしのぐなら帰省費はできるだけ削らない

収入の増加も帯同も難しいとなると、家計を改善するには節約して支出を減らすことになります。単身赴任は生活費が二重に発生している状態です。生活の各拠点でそれぞれが支出を見直し、節約に励んでいきます。

ここで節約ポイントとして候補にあがりやすい出費が、帰省費です。しかし、わたし個人的には、帰省の頻度を減らすのはあまりおすすめできません
なぜなら、お子さんの成長はあっという間だからです。今しかみられない姿、できないことがたくさんあるはずで、今を逃すともう二度と同じチャンスは訪れないかもしれません。
進級・進学につれて部活や塾通い、友達付き合いでお子さんも忙しくなっていきますから、一家が揃って過ごせる時間は単身赴任でなくても案外と限られているものです。

帰省の頻度を減らす前に、帰省の交通費を抑えられないか工夫してみましょう。例として、新幹線や飛行機は早期割引など各種割引チケットが提供されています。
また、新幹線は年間を通じて価格はほぼ変動しませんが、空の便は月や曜日、時間帯によって価格に差があります。LCCはそもそも低価格ですから、日によっては電車よりも飛行機のほうが安上がりかもしれません。
車を使うなら、高速道路は深夜割引や休日割引で約30%安くなります。
帰省のために有給休暇を取得するのもひとつの方法でしょう。

こうしたお得なサービスを使った節約は積極的に取り組みたいものですが、日頃の節約のがんばりすぎは逆にストレスになってしまいます。単身赴任世帯では、お子さんとともに暮らすパートナーの家事・育児の負担が大きくなります。
心身の健康のためにも、必要に応じて「時間や労力をお金で買う」ことも大切です。
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転職は最後の選択肢

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近年は、転居したくないために転勤を断って退職・転職する人が増えているようです。
転勤については多くの企業で就業規則に記載しており、例外はあるものの、転勤の拒絶は解雇の事由になり得ます。ですから「転勤を断ると会社にいられなくなる」ともいえるでしょう。

繰り返しになりますが、転勤のある企業では、一般的には転勤を「ほか(複数)の支店・支社で経験を積み、職位を上げるステップ」と位置づけているでしょう。したがって、転勤の拒絶は後々の出世・昇給のチャンスを逃すことに結びつきます

また転職する場合、年齢や経歴によっては今よりも給料や通勤時間などの条件が悪くなるおそれがあります。したがって、転勤を理由にした転職は、ある意味最後の選択肢として捉えておきましょう。

転勤・単身赴任は点でなく線で捉えよう

転勤・単身赴任は点でなく線で捉えよう
最後に、本記事の要点を簡単にまとめておきます。
Check
@ 予期せぬ転勤なら、単身赴任が終わってから黒字化すれば問題なし
Check
A 転勤族は家計を見つめ直す必要があるかも
Check
B 節約するなら帰省費はできるだけ削らない
多くの場合、企業側は今後の職位の引き上げを見据えて従業員を転勤させます。
転勤族でないご家庭は、単身赴任による赤字は一時的なものと割り切って、単身赴任が終わってからの黒字化を目指しましょう。
一方、転勤族で転勤を重ねるにつれて職位が上昇し、給料も増加しているにも関わらず慢性的な赤字になっている場合は、家計を一度見つめ直す必要があるでしょう。

家計の改善策はいくつか考えられますが、もし節約に励むのであれば、家族の幸せのためにも帰省の頻度はできるだけ減らさないように心がけたいものです。
そのためにも、どうすれば必要なお金を捻出できるか、ほかに減らせる支出はないか、一度プロの手を借りて精査してみませんか。

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