「ボーナスしか貯金できない」は問題なし!その理由をFPが解説します

2025年6月11日
執筆者:土屋 ごう
「ボーナスしか貯金できない」は問題なし!その理由をFPが解説します
毎月コツコツ貯金したくても、実際はボーナス頼み…。
こんなふうに頭を悩ませている方へ、まずはお伝えしたいことがあります。
ボーナスしか貯金できていなくても、年間の目標をきちんと達成できているのなら、気にする必要はまったくありません。

本記事では、FPの視点から「ボーナスしか貯金できない家計はよくないのか?」という疑問にお答えし、適切な目標の立て方やボーナスで貯金するポイントをご紹介します。

ボーナスしか貯金できなくてもよい理由

ボーナスしか貯金できなくてもよい理由
冒頭でお伝えしたとおり、年間の貯蓄目標を達成できているのなら、毎月コツコツ貯金に取り組めなくてもまったく問題ありません
なぜなら、貯蓄は1ヵ月単位ではなく1年単位で考えることが重要だからです。

貯蓄について考えるとき、なぜか「毎月●万円」と1ヵ月単位で捉えてしまいがちです。しかし、毎月の給与が一定であるのに対して、出費は変動します。たとえば旅行や帰省、子どものイベントなどで支出が集中する時期もありますし、夏場や冬場は空調費もかさむでしょう。
月単位の管理はわかりやすいようにみえて実は難易度の高い方法で、年間で考えるほうがお金の管理はしやすくなります。
年単位で考えると、ボーナスも自ずと計画のなかに含まれてきます。そして多くの場合、ボーナスの金額はある程度見通しが立てられるものです。

成果主義の強い業種や外資系企業など給与形態が完全インセンティブ制の方でなければ、ボーナスは「予測できない臨時収入」ではありません。
多くの企業では、「基本給の1〜1.5ヵ月分を年2回支給」といった形でベースが決まっており、おおよその見通しが立てられます。もちろん会社の業績や個人の評価によって変動はあると思いますが、ここでは正確な金額ではなく、低めに見積もってどれくらい受け取れそうかがわかればじゅうぶんです。

こうして「年収=毎月の収入×12ヵ月分+ボーナスをベースに年間の収支を考え、ボーナスだけで目標達成できるなら、月々の貯金がゼロでも悩む必要はありません。
むしろ貯金できた月が「+α」となりますから、気が楽になりませんか。

ただし、給与形態が完全インセンティブ制の方は話が変わってきます。この場合はボーナスの予測が立たないため、ボーナスを考慮せずに貯蓄の計画を立てましょう。そして、お金について悩むよりもどんどん働いて稼ぐことに集中していきましょう。

年間の目標額の決め方

年間の目標額の決め方
では、1年間の貯蓄の目標額はどのように決めたらよいのでしょうか?
王道はライフプランからの逆算です。
ライフプランとは、文字どおり人生の計画です。「こうなったらいいな」という理想も含めて、ご家族全員のライフイベント(転職、ローンの完済、退職、進学など)を時系列で整理し、一覧表にまとめます。
タイムライン
そして、ライフプラン表をみていつどのくらいお金が入りそうか・必要になるか見通しを立て、その見通しから1年間の目標に落とし込んでいきます。
最近はExcelやGoogleスプレッドシートでテンプレートも公開されていますが、将来のお金の見通しを立てるのはなかなか大変で、難しいかもしれません。
最低限考えておきたい要素を絞るならば、 教育資金老後資金の2つです。
前置きが長くなりましたが、ここでは教育資金と老後資金の目標の立て方をお伝えします。

教育資金

教育資金は、私立中学を受験するかしないか、進路別に分けて考えます
私立中学を受験しないなら、高校3年生までに250万円〜500万円を準備できるように計画を立てましょう。250万円は自宅から公立大学に通う場合の学費のほぼ4年分、500万円は私立大学の医歯系を除く理系学部の学費4年分をほぼカバーできる金額です。

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一方で、私立中学を受験する可能性がゼロでない場合は、できれば小学校5年生(11歳)までに500万円の大学進学費用を用意しておくのが理想です。中学受験をするとなると、小学校高学年から中学受験に向けた塾通いが始まり、その後も教育費がかかり続けるため、大学資金を積み立てる余裕がなくなりがちだからです。

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老後資金

老後資金を詳細に考えようと思うと、不確実な要素が多くてなかなか大変です。
そこで、以下2点をベースにして大まかに考えていきましょう。

 ● 老後の生活費
 ● 完全リタイア時の住宅ローン残高

「老後の生活費なんてよくわからない!」という方は、 2,000万円がひとつの目安になります。これは金融庁が発表して話題になった「老後資金の不足額は2,000万円」を参考にしています。もちろん、2,000万円では足りない人もいれば、そうでない人もいるため、万人に当てはまる金額ではありません。不安な方は1,000万円上乗せして3,000万円としてもよいでしょう。

次に、住宅ローンの完済予定がリタイア後の方は、リタイア時の住宅ローン残高を老後の生活費に加えます。なお、ここでのリタイアは、定年のことではなく年金以外の収入がなくなるとき」を指します。定年後も継続雇用などで働く予定の方は、継続雇用での仕事を辞めるときがリタイアのタイミングです。

さて、ここで少しシミュレーションしてみましょう。
現在40歳で、65歳でのリタイアを考えている方がいるとします。
老後の生活費は2,000万円、リタイア時点の住宅ローン残高は1,000万円で、老後資金として3,000万円を貯める予定です。65歳までの25年間、年率5%の運用で準備するなら、1年間の積立額は約60万円(毎月5万円程度)が必要です。
必要な積立額は金融庁のWebサイトで簡単にシミュレーションできるので、条件をいろいろ変えて試算してみるとよいでしょう。

つみたてシミュレーター|金融庁

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「ボーナスは全額貯金すべき」の落とし穴

「ボーナスは全額貯金すべき」の落とし穴
ボーナスでの貯金を考えるとき、よく「ボーナスは全額貯金すべき」といったアドバイスもみられます。これは、半分正解で、半分間違いだといえます。

ボーナスを全額貯金しないと年間の貯蓄目標に到達しないなら、全額貯金すべきでしょう。反対に、目標を達成できるならボーナスの全額を貯金する必要はありませんし、余剰分は使ってしまっても構いません
むしろ、お金を使うことも大切です。
自分のリフレッシュや、家族との思い出づくり、長い間欲しいと思っていたものの購入など、心を満たし、毎日を豊かにするお金の使い方は積極的にしてもよいとわたしは思います。
もちろん、今はとくに欲しいものがないなら、やりたいことや欲しいものが現れるまでプールしておいてもOKです。

貯めるべきお金なのか、使ってもよいお金なのかを見極めるためにも、目標設定が大切だとおわかりいただけるでしょう。

積立投資のボーナス月設定ももう迷わない!

積立投資のボーナス月設定ももう迷わない!
もうひとつ、「NISAで積立投資をしているのですが、ボーナス月はいくら増額すればいいですか?」といった質問もよく寄せられます。
この質問への回答も、もうおわかりですね。
年間の目標積立額を達成するために必要な金額」です。

前提からお話ししましょう。
NISAをはじめとする積立投資は、使う予定が10年以上先のお金の準備に適しています。積立投資に取り組む多くの方が、老後資金や教育資金の準備を目的としているのではないでしょうか。
そして、基本的には「毎月」一定額を積み立てていきます。
しかし、「毎月の積み立てだけでは年間目標に届かないが、これ以上積立額を増やせない」時期もあるかもしれません。
そんなときに、ボーナス月の増額設定で差額を調整します。

例として「年間60万円の積み立てが目標だが、月々3万円が限界」なら、12ヵ月で36万円は積み立てられて、あと24万円足りません。この場合は夏と冬のボーナスで12万円ずつ増額すれば、目標を達成できますね。
また「ボーナスでしか積み立てられない!」という方であれば「ボーナスでしか積み立てられない!」という方であれば、毎月の積み立てはゼロで、ボーナス月に30万円ずつ年2回積み立ててもよいわけです。

積立投資=毎月の積み立てと思い込みがちですが、NISAのつみたて投資枠も「年間120万円まで」と定められているとおり、別に毎月積み立てる必要はありません
ボーナス月をうまく活用して、目標に届くように調整していきましょう。

ボーナスのみの貯金でも目標を達成できるなら問題なし!

ボーナスのみの貯金でも目標を達成できるなら問題なし!
最後に、本記事の要点をもう一度おさらいしておきましょう。
Check
@ 年間の貯蓄目標を達成できるなら、貯金はボーナスのみでも問題ない
Check
A 年間の貯蓄目標の設定は、最低限、教育資金と老後資金を考慮しよう
Check
B 目標を達成できたら、余剰のお金は自由に使ってOK!
WebやSNSでは、「毎月●円貯金すべき!」「老後資金は●千万円必要!」といったアドバイスが非常に多くみられます。
そして、こうした情報をみて不安になる方も多くいらっしゃるでしょう。
しかし、大切なのは「正しく怖がること」です。
家族構成やご家族の年齢、住まいの状況、職業や学校は人それぞれですから、こうしたアドバイスが当てはまる人もいれば、そうでない方も当然いらっしゃいます。
我が家の家計はどうか?」を具体的な数字でみつめられると、消えていく不安もあるはずです。

本記事では、大まかかつ簡単に目標を立てる方法をお伝えしましたが、「自分で立てた計画が適切なのか自信がない」「ライフプランをつくってみたが、不安な点がある」といった方は、FPをご活用ください。
FPはライフプランのプロフェッショナルであり、「家計のホームドクター」ともいわれています。毎年健康診断を受診するように、あなたの家計やライフプランも、一度点検してみませんか。

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