投資詐欺の見分け方!リスクとリターンは表裏一体

2025年10月24日
執筆者:土屋 ごう
投資詐欺の見分け方!リスクとリターンは表裏一体
投資詐欺の被害は50代・60代が最多で、被害額は数百万、時には数千万円にのぼることも少なくありません。
投資詐欺にひっかかる原因は、“リスクとリターンの関係”を知らないからだといえます。

例えば“元本保証で年利10%です”という誘いがあったとき、あなたならどう判断しますか?

現実には世界株の長期で見た平均リターンは年7%程度日本国債の利回りは1%前後です。
この目安を知っていれば、“そんなうまい話はあり得ない”と気づけますよね。

本記事で投資の基礎を押さえれば、“絶対儲かる”なんていう怪しい話に騙されることはなくなります。ぜひ参考にしてください。
世界株
日本債券

投資詐欺の手口

投資詐欺の手口
詐欺師がよく使うのが『高配当を約束します』、『元本保証です』、『必ず儲かります』とこちらの注意を引く言葉です。
『国がバックについているから安心です』、『大手企業と提携しています』、『特別にご紹介できるのは今だけです』などとたたみかけてくる場合もあります。
たしかに『銀行預金よりはるかに有利』、『放っておくだけで毎月配当が入ります』などと言われると、つい心が揺れてしまうのも無理はありません。

誰でも、“お金に対する不安”を抱えていますよね。『老後資金は大丈夫だろうか』、『年金だけで暮らしていけるのか』などの漠然とした不安を、詐欺師は言葉巧みに的確に突いてきます。

こうした投資詐欺に騙されないために必要なのが、“リスクとリターンの関係”を正しく理解しておくことです。

リスクとは「不確実性」を意味する

リスクとは「不確実性」を意味する
多くの人が“リスク=危険”だと考えています。
『リスクのある投資は危ない』、『だから安心できる商品を選びたい』と思ってしまうのも自然なことです。

でも、金融の世界で言うリスクとは“危険”ではなく、正しくは“不確実性”という意味です。
つまり、 価格が上がるかもしれないし、下がるかもしれないという“先が読めない状態”のことをリスクと呼びます。

そして大事なのは、リスクとリターンは表裏一体だということです。値動きの幅があるからこそ、大きく上がる可能性が生まれ、同じ理由で下がる可能性もあります。

プラスの可能性とマイナスの可能性は、必ずセットになっているのです。
ですから、“リスクゼロで高リターン”という話は、そもそも存在しません。そんな言葉を使ってくる勧誘は、もう“詐欺確定サイン”と考えてください。

つまりリスクは“怖いもの”ではなく、“リターンを得るために引き受けなければならない条件”になります。

世界株式と日本国債のリターンの目安を知る

世界株式と日本国債のリターンの目安を知る
では実際に、どのくらいのリターンが“現実的な数字”なのかを確認しておきましょう。

世界の株式は長期的に見ると平均して年率7%程度のリターンが期待できると言われています。
ある年は+20%以上上がることもあれば、逆に−20%下がる年もありますが、長期でならすとこの7%程度に落ち着いていきます。だから大きな値動き、要するにリスクがあるということになります。

一方で、2025年9月現在の日本国債の一種である個人向け国債の利回りは1%程度です。
国が発行しているという安心感はありますが、リターンは小さい、つまり“リスクを抑えた結果としての数字”です。

現実の基準(世界株7%・国債1%)を大幅に超える“保証つき高利回り”という話は、ほぼ詐欺だと考えてください。

つまり、投資詐欺を見抜く一番の武器は“正しいリターンの目安”を知っていること
これさえ理解していれば、『その数字はおかしい』と冷静に判断できるようになります。

「安全」でもリスクはゼロじゃない

「安全」でもリスクはゼロじゃない
安心できるとされる銀行預金や国債にもリスクはあることを知っておいてください。

まずはインフレの影響です。『銀行に預けておけば安全』と思われがちですが、物価が上がればそのお金の価値はどんどん目減りします。
たとえば100万円を預けても金利がほとんどつかない一方で、物価が5%上がったら、実質的に買えるものは95万円分に減ってしまいます。これは、預金や国債では防げない“見えにくいリスク”なんです。

次に 金利変動について。国債は“元本保証”とよく言われますが、途中で売ろうとすると話は別になります。たとえば、低い金利のときに買った国債を、金利が上がった後に売ろうとすると、新しい高金利の国債の方が人気になるので、自分が持っている国債の価格は下がってしまいます。国債でもタイミング次第では元本割れする可能性があります

このように、銀行預金や国債といった“安全商品”ですら、インフレや金利の変化というリスクからは逃れられません。

詐欺の事例:ポンジスキーム

詐欺の事例:ポンジスキーム
実際に過去に多くの人が騙された詐欺の典型例ポンジスキームについて紹介します。

ポンジスキームの仕組みは単純でした。実際には投資運用をしていないのに、新しく集めた投資家のお金を古い投資家への配当に回す、つまり“お金のタコ足配当”をしたのです。
きちんと配当が出るので、投資家は『本当に利益が出ている』と信じてしまいました。

このような新規の契約者を増やし続けない限り維持できない仕組みの詐欺はほかにもたくさん存在します。たとえば:

 ● エクシア合同会社は『月利3%を保証します』『元本保証です』と勧誘し、約9,000人から850億円を集めましたが、実態は運用益ではなく集めた資金を回していただけと見られていて結局は破綻しました。

 ● かぼちゃの馬車事件は『利回り8%保証』、『30年家賃保証』をうたい女性専用シェアハウス投資を広めたケースでは土地や建物を相場より高く売り、その上乗せ分をオーナーへの“配当”に回す構造でした。

こうした詐欺を見抜くポイントは2つです。

ひとつは、『異常に安定した高利回り』をうたっていないか。
もうひとつは、『仕組みの説明があいまい』になっていないか。

もしあなたが投資の話を聞いて、このどちらかに当てはまると感じたら、すぐに立ち止まってください。それが、詐欺から身を守る第一歩になります。

“リスクとリターンの関係”を知っておくことで自分を守る

“リスクとリターンの関係”を知っておくことで自分を守る<a name="f"></a>
今日の学びを一言でまとめるとずばり『リスクゼロで高リターン』という言葉に騙されないで!です。

そして、現実の数字を知っておくことが何よりの武器です。 世界株でも年7%、国債なら1%程度 という数字をぜひ覚えていてください。

しかも世界株は安定的な数字ではなくリスクがあっての数字です。だから7%に“安定して稼げる”なんて話があれば、それはもう疑ってください。

大切なのは、“リスクについてきちんと説明されているか”。もし説明があいまいなら、それは投資ではなく、あなたのお金を狙った罠です。

誤った情報に振り回されることなく、自分の判断で選べる知識を身に着けることが安心して投資を始めることにつながります。正しい投資の知識を身に着けて将来の基盤を確実に積み立てていきましょう。

お金のことでわからないことや不安なことがあれば、下のバナーまたはこちらのお問い合わせフォームから、お気軽にお問い合わせください。

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