住宅ローンはいくら借りられる?世帯年収別・住宅価格の目安をFPが解説します

2025年8月15日
執筆者:土屋 ごう
住宅ローンはいくら借りられる?世帯年収別・住宅価格の目安をFPが解説します
「住宅ローンって、どれくらいまで借りても大丈夫?」
「不動産屋さんに勧められた金額でローンを組んで本当にいいの?」

住宅購入は人生で一番高い買い物だからこそ、こんな風に悩んでしまうのではないかと思います。
この記事では、そんな疑問や不安に答えるために、

  ✔ FPとして実際に現場で伝えている考え方
  ✔ 無理のない返済ラインの目安
  ✔ 年収別・家族構成別の購入可能額
  ✔ 見落としがちな将来コストの話
  ✔ ありがちなNGパターンとその対策まで

を順を追ってわかりやすく解説していきます。
最後まで読んでいただくと「うちはこのくらいの家までなら安心して買えそうだな」という判断ができるようになるはずです。

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よくある勘違い:借入可能額=購入可能額?

よくある勘違い:借入可能額=購入可能額?
住宅ローンについて相談を受けるとき、必ずと言っていいほど聞かれるのが「銀行に行ったら〇〇万円まで借りられますと言われましたが、借りられる金額をそのまま家の予算にしてもいいですか?」という質問です。

銀行の事前審査や仮審査で「あなたは〇〇万円まで借りられますよ」と言われると、ちょっと安心しますよね。「そんなに借りられるなら、〇〇万円の物件も視野に入れて大丈夫かな?」と考えてしまうのもうなずけます。
しかし実際のところ「借りられる金額」と「返していける金額」は、まったくの別物だということに注意してください。

銀行の審査が何を基準にしているかというと、基本的にはあなたの“年収”です。
年収700万円なら〇〇万円、年収1000万円なら〇〇万円まで、といった具合に表面的な「数字」だけで判断されます。

同じ年収1000万円の人でも、共働きか片働きか、子どもの人数、貯金額などによって「無理なく返済できる金額」はまったく違ってきます。教育費、車のローン、老後の貯金、毎月の生活費、レジャー、保険、税金など、支出もご家庭によって様々です。

「手取り収入は毎月いくら?」、「固定費と変動費でいくら使ってる?」、「将来、教育費はどれくらい必要?」などを把握してようやく“安全に返していける金額”が見えてきます。
まずは「自分の家計の全体像」をしっかり把握することが大切です。

「借入可能額=買っていい家の金額」だと思って家を選ぶと後々家計が圧迫され、最悪の場合だとローンを返済できずに「住宅ローン破綻」してしまい、マイホームを手放さざるを得なくなることもあります。
本当にすべきなのは“銀行が言う 「借りられる金額」ではなく、あなたの「返していける金額」を基準に家を選ぶ”ことです。

住宅ローンを「借りる瞬間」は一瞬ですが、「返す生活」は何十年も続きます。だからこそ、くれぐれも「借りられる金額」に踊らされず、冷静に“自分に合った予算”を見極めてくださいね。

無理のない住宅ローンの目安とは?

無理のない住宅ローンの目安とは?
家探しを始めるにも、ローンの相談をするにも、ある程度の「予算感」は必要ですが、ネットで調べるとよく出てくる “返済比率”という数字は、人によってまったく当てはまらないことがあるので注意が必要です。

たとえば、同じ年収1000万円の家庭でも:
お子さんが0歳でこれから教育費がかかる家庭 子どもが独立している家庭
30歳で65歳でローンが完済できる家庭 45歳で80歳まで借りる家庭
奥さんも働いている共働き家庭 今後は専業主婦になる予定の家庭
地方で車を2台持つ暮らしの家庭 都内で車を持たない暮らしの家庭
これらの家庭はそれぞれ“必要な生活費”や“将来の支出”が全然違ってくると思います。
あなたのこれからの人生に、どんなライフイベントがありますか?

 ● お子さんが生まれる
 ● 車の買い替えをする
 ● 小学校・中学・高校・大学などの教育費がかかる
 ● 家族旅行に行く
 ● 老後資金の準備をする

このような “未来のお金の出入り”をざっくりでもいいので書き出してみてください
そして「住宅ローンに毎月〇万円払っていったときに他のイベントにも対応できそうか?」を確認してみてください。

実際FPの現場では「ライフプラン表」をまず作り、将来の収支の流れをシミュレーションしたうえで「このくらいなら無理なく返せる金額」を算出し、そこから逆算して借入可能額や物件価格を考えていく、というのが王道の流れです。

「ライフプランを確認した上で十分な余裕があった場合」における一つの参考値が「手取り年収の20〜25%」だといえます。

「家」は買ったら終わりではなく、その後の暮らしが本番です。もし将来の教育費や老後費用に手が回らなくなってしまったら、せっかくの夢のマイホームが家族の負担になってしまうかもしれません。
だからこそ、先にライフプランを作ることが大切です。「この範囲なら安心して払っていける」と見えてきた金額の範囲内で家を選びましょう

具体的な「購入価格」の出し方

具体的な「購入価格」の出し方
この章ではいよいよ「購入価格の出し方」をリアルな数字で解説していきます。

今回のシミュレーションでは、金利2%・35年返済・元利均等返済で計算しています。
なぜ2%にしているかというと、これは2025年8月現在の「全期間固定金利型住宅ローン」の水準に近いためです。変動金利だと今は1%未満もありますが、将来の金利上昇リスクを加味するなら固定金利で安全ラインを見ておくのが現実的です。
でも決して固定金利をおススメしているというわけではなく、 まずは固定金利で計算して余裕があれば変動金利を考えるという順番が大切です。金利上昇リスクを考えなければいけません。

そして今回の試算では、「頭金なし=フルローンでの購入」を想定しています。つまり、「貯金は他の目的に残したい」「教育資金や老後のために資金は温存したい」という方でも参考にできる内容です。

ステップ@:「月々返済できる金額」から逆算する

ライフプランを立てた上で、「月にいくらまでなら無理なく返していけるか?」を考えることが第一歩です。目安としては「手取り年収の20から25%以内」が教育費や老後資金の積立も両立できる“余白”を残せるバランスの良い水準です。

ステップA:金利2%での借入額目安(35年返済)

ここまでわかったところで、金利2% 35年返済での借入額の目安を見てみましょう。
月々の返済額 借入可能額(目安)
13万円/月 約3900万円
15万円/月 約4500万円
18万円/月 約5400万円
20万円/月 約6000万円
22万円/月 約6600万円
※金融機関によって多少変動します。

ステップB:ケーススタディ

ケース@:
世帯年収800万円・共働き
・子ども2人(6歳・3歳)
・夫婦ともに35歳
● 手取り年収:約600万円(50万円/月)

● 月々返済額:11.5万円(返済負担率23%)

● 借入可能額:約3,500万円

● 頭金なし、フルローン

→ 購入価格の目安:3,500万円

※今後教育費が増えていくフェーズなので将来の支出増に備えて“少し余白を残した設計”がベストです。
ケースA:
世帯年収1,200万円・共働き
・子ども1人(5歳)・2人目希望
・夫40歳、妻38歳
● 手取り年収:約900万円(75万円/月)

● 月々返済額:17万円(返済負担率約23%)

● 借入可能額:約5,100万円

● 頭金なし、フルローン

→ 購入価格の目安:5,100万円

※将来的に第2子を希望しているため、教育費は2人分見ておく必要あり。夫婦ともに60歳までは安定収入が見込める前提で算出。
ケースB:
世帯年収1500万円・共働き
・子ども2人(10歳・7歳)
・夫婦ともに42歳
● 手取り年収:約1100万円(約92万円/月)

● 月々返済額:21万円(返済負担率約23%)

● 借入可能額:約6300万円

● 頭金なし、フルローン

→ 購入価格の目安:6300万円

※教育費のピークが近く、同時に老後資金準備も視野に入るタイミング。収入に対しての余裕はあるが、将来のキャッシュフローも見越した上での上限設定。
ここで大切なのは「買える金額」ではなく、「将来のライフプランを守れるかどうか」という視点から、買っていい価格帯を考えることです。そして忘れてはいけないのが今回ご紹介した金額は、あくまで“頭金なし・全期間固定金利2%”での安全圏シミュレーションです。

つまり、実際に頭金に入れるかは別にして、もし仮に頭金相当額として500万円や1000万円の資金が用意できるのであれば、その分を上乗せしてもう少し高額な物件を検討しても問題ない場合もあります。今の金利水準なら頭金に入れる必要はないので、頭金相当額と表現しました。

また、家庭の生活パターンによっても変わります。

 ● 外食が少なく生活費を抑えられている
 ● 両親の支援がある
 ● 教育費を公立中心で見込んでいる
 ● 収入の増加が明確に見えている

こういったケースであれば、返済負担率がやや高めでも問題ないこともあります。
逆に、思っている以上に支出が膨らむ以下のようなケースの家庭です。

 ● 習い事をたくさんさせる予定・私立志向が強い
 ● 車2台保有で維持費が高い
 ● レジャー・旅行を重視するライフスタイル
 ● 転職や収入減の可能性がある

こういった場合は、今回の目安よりも少し控えめに見積もる必要があるかもしれません。

結局のところ 「買って大丈夫な金額」というのは単なる返済比率や収入の話ではなく、あなたの家族のライフスタイルや「これからどう暮らしていきたいか」によって大きく変わります

今回ご紹介したのは、あくまで“基準となる目安”に過ぎません。あなた自身の「お金の流れ」や「これからの暮らし方」をもとに、無理のない範囲で計画を立てていくことが後悔しない住宅購入への鍵です。

FPが見るチェックポイント

FPが見るチェックポイント
FPとしていろんな家庭の相談を受けていると「同じ年収・同じ家族構成」でもAさんは全く問題ないのに、Bさんはちょっと危ないな…などと思うことが度々あります。その理由は「数字だけじゃ見えてこない背景」が家庭ごとに全然違うからです。

ここではFPとして私が必ずチェックする4つのポイントをお話しします。

✔ 教育資金と住宅ローンのバランスは取れていますか?

家を買うタイミングはお子さんがまだ小さいご家庭が多いのですが、未就学児のころは子供にそれほどお金はかからないと思います。
ところが中学・高校・大学と成長していくにつれて、教育費は一気に上がってきます。特に塾や習い事、進学先によっては教育費だけで年間100万〜200万円の支出になることもよくある話です。

もし、お子さんが2人だったら、かなりインパクトがありますね。

だからこそ、「この住宅ローン、10年後の教育費と重なっても大丈夫?」という視点がとても大切です。

✔ 定年過ぎてもローンが残っていませんか?

最近多くなってきたと感じるのは「住宅ローンの完済が定年後の70歳〜75歳になっている」というケースです。

たとえば40代で家を買って35年ローンを組むと、完済年齢は75歳です。でも収入が65歳くらいで途切れる人が多い中で「そのあとの10年間、ローンを返していけるのか?」という点をしっかり考えておかないといけません。

もちろん、退職金でドンと一括返済するのも一つの方法ですし、つみたてNISAやiDeCoなどで積み立てておいて、後からローンを完済するというプランもアリです。

私が相談を受けるときは、必ず定年後も残るローン金額とそれを返すめどについて確認します。

ポイントは、老後も見据えた設計になっているかどうかです。返し終わるころに年金生活が始まって、そこから生活がカツカツになるような状態を避けるには、今のうちに“ゴールから逆算した設計”をしておく必要があります。

✔ 共働き前提でローンを組んでいませんか?

「共働きで年収〇〇万円あるから、〇万円のローンでも返せますよね」というのが実は一番多い相談です。

「今後奥さんがフルタイムで働き続ける想定で大丈夫ですか?」と共働きを続ける覚悟の有無を私はいつも確認します。
共働きを前提でローンを組むと二人で働き続けることが確定してしまい、今後起こりうる変化に対応できなくなりますよ、ということが言いたいのです。

 ● 2人目のお子さんが生まれても働き続けられそうですか?

 ● お子さんが小学生になっても時短で働かざるを得ない状況だとしても大丈夫ですか?

 ● 「子育てを優先したい」という気持ちになって、仕事をセーブするかもしれないことまで考慮していますか?

「共働きが前提」で住宅を購入するにはご家族全員の覚悟が必要なので、よく検討しましょう。

✔ “住宅ローン以外”の見えないコストを見落としていませんか?

ローンの返済以外にも次のようなお金がかかることは意外と忘れられがちです。

 ● 固定資産税(年間10万〜20万円くらい)
 ● マンションなら修繕積立金・管理費(将来値上がりも考慮しましょう)
 ● 火災保険・地震保険の更新費用
 ● メンテナンスやリフォーム費用

毎月の住宅ローンは返していけても 「それ以外の支出」が家計を圧迫してしまうケースが少なくありません。住宅を購入する前に必ずチェックしておきたいポイントです。

FPとして住宅相談を何百件とやってきて感じるのは、「数字だけでは判断できないことがたくさんある」ということです。大事なのは「この家は今の自分たちに買えるか?」ではなく、「この家をこれからの人生でも無理なく持ち続けられるか?」という視点です。

住宅ローンはあなたのこれからの人生もずっと付き合っていくものだからこそ、ローン返済だけにとらわれず、教育費・老後資金・生活の変化・家族の希望など “暮らしの全体像”の中で判断していくことが大切です。

よくあるNGパターン&対策

よくあるNGパターン&対策
ここからは私が実際にたくさんのご家庭を見てきた中で感じた「やってしまいがちなNGパターン」と、そうならないための対策について具体的にお伝えします。

NG@:物件から決めてしまう

まず最も多いのが「物件から決めてしまう」パターンです。

「いい物件が出ましたよ!」「この金額なら住宅ローン通りますよ!」「今なら金利も低いし、チャンスですよ!」などと不動産屋の営業さんから言われて、「それなら!」と勢いで進んでしまうケースです。気がついたら「買いたい家に合わせて住宅ローンを組んでいる」状況になります。

本当は“家計と将来のライフプランから返せる金額を出して、その範囲内で家を選ぶ”という順番じゃないと、「希望の家は買えたけど生活が苦しい」状態になってしまいます。

NGA:変動金利でギリギリまで借りる

「変動金利なら0.6%台で借りられるから、同じ月々15万円でも、もっと高い家が買える!」と考えた場合は一度立ち止まる必要がありそうです。その金利は35年間ずっと続くでしょうか?

今後インフレが進み日銀の金融政策が変われば、金利は必ず上がっていきます。仮に金利が1%上がったら、返済額は月々2〜3万円増えるケースもあります。今ギリギリで組んでいたら、将来の金利上昇に耐えられないかもしれません。

そのため私は「変動金利を使うのは悪いことではないのですが、借りる前に前に2%の金利になった場合でもローンを返せる設計になっているかを確認しましょう」とお伝えしています。

それが難しいなら、最初から全期間固定で“金利リスクを手放す”という考え方もアリです。

NGB 家を買ったあと、家計のアップデートが止まってしまう

意外と多いのが「家を買ったあと、家計の見直しがストップしてしまう」ケースです。
家を買ったことによって、家計の構造は大きく変わります。

 ● 毎月の住宅ローンの支払いが始まる
 ● 固定資産税や管理費など、新しい支出が加わる
 ● メンテナンス費用の積立も必要になってくる

それなのに住宅購入前と同じ感覚でお金を使っていると「あれ?毎月の貯金ペースが落ちてきたな」、「教育費の積立てが思うようにできない」などということが起こりやすくなります。

そしてもうひとつ忘れがちなのが“保険”です。
住宅ローンを組むと、団体信用生命保険(団信)が付いてくるにもかかわらず、保険の見直しをせずに「必要以上の保険料をずっと払い続けていた」というケースもよくあります。

こういった「住宅購入後の家計の見直し」が後手に回ることで、将来に向けた貯蓄や資産形成が遅れてしまうリスクがあります。
だからこそ、マイホームを手に入れたあとも家計全体をアップデートしていくことが大事です。

 ● 住宅ローンの支払いが生活費にどう影響しているか
 ● 教育資金・老後資金の積立は計画通り進んでいるか
 ● 保険の内容が今のライフスタイルに合っているか

これらを定期的にチェックすることで、「買った後も安心して暮らしていける状態」を保つことが大切です。


今回紹介したNGパターンは誰もが経験する可能性があることばかりですが、事前に知っていれば避けることができると思いませんか。

マイホームは人生で一番高い買い物です。だからこそ「家を買って終わり」ではなく、「その後の暮らしを守っていけるか」までを考えることが大事になってきます。

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